老人介護とは?
日本は、高齢化が進み、老人の介護は日本社会が抱える大きな課題です。
老人の介護の問題は、要介護者本人だけでなく、家族にとっても重要な問題であるため、最良の選択をするために、実際におこる介護の問題点やトラブル事例などを学ぶ必要があります。
在宅介護をするのか施設に入居させるかなど、症状の重さなどを考慮して各家庭ごとに判断しなければなりません。
日本の高齢化率は1994年に14%を超えて高齢社会となってから、現在は超高齢社会に突入しています。超高齢化社会では介護者も高齢になったり、老老介護や認認介護などの様々な問題が生じてます。
老人介護の内容
老人介護の主な内容は、介護者の身の回りのお世話や介助が中心です。
具体的には、日常生活におけるお世話や、歩行・食事・入浴・排泄などの身体介助、通院同行などがあります。そのほかにもレクリエーションをやったり、緊急時の対応なども重要な業務です。
また、介護の施設や、それぞれの目標を達成するための仕事も行います。例えば、介護施設の仕事内容であれば、在宅生活への復帰が目標となるため、特養やその他の老人ホームよりもご入所者の回復・復帰を意識したサービス提供が重視されます。
あると便利な介護グッズ
介護はとても大変な作業になります。ですから介護する側もされる側も、少しでも快適に過ごせるために必要なものは用意したほうが良いです。ここでは介護グッズについて確認してみましょう。
電動カート
ご高齢者の足代わりとなり、近距離の移動に便利な電動カートです。
車いすに電動モーターが付いているため、力を使わずに移動ができ、歩いて遠出をすることが難しくなったご高齢者が、自力で買い物や通院などに外出できる可能性が高まります。また、付き添い介助の負担を大幅に減らすことが出来ます。免許も不要で基本的には手元のレバーなどですべての操作が完結するように作られています。
歩行補助杖
歩行に不安がある方に広く利用されているのが「歩行補助杖」です。「歩行補助杖」を使うことで室内や屋外の移動が自力でできるようになります。杖に体重をかけるとで足にかかる負担が軽くなり、荷重を減らすことで足腰の痛みをやわらげ、筋力をサポートします。
認知症徘徊感知機器
認知症の方を介護するときに大きな負担となる状態に「徘徊」があります。徘徊感知機器を設置することで徘徊の最初の兆候をとらえ、事前に防ぐことができます。俳諧の検知は、「ベッドから下りる」「部屋から出る」といった徘徊のいちばんはじめの兆候を感知し、ご家族に知らせます。 徘徊の初期段階で発見することで、ご家族の心労や体力の消耗を防ぎます。
床ずれ防止用具
ベッドや車いすの上で長く同じ姿勢を続けると体の特定の部分に圧力がかかり、血流が悪くなって床ずれが発生しがちです。皮膚や皮下組織が壊死する床ずれは、要介護者にとって痛くてつらいので、床ずれ防止用具で予防する必要があります。
入浴補助用具
入浴には清潔を保つためにとても重要です。ですが、入浴中の事故の危険も潜んでいます。入浴補助具は、体を洗う、浴槽をまたぐ、お湯に浸かるなど、入浴の動作をサポートするためのものです
ポータブルトイレ
ポータブルトイレはベッドのそばに置く要介護者専用のトイレです。温水洗浄機能やソフト便座など、ご高齢者の体にやさしい機能が付いたものもあります。寝室からトイレまで歩いていく必要が無いため介助者の負担を減らすことも出来ます。
車いす
車いすは「移動する」だけでなく、正しい姿勢を保って座れる「いす」の役割も果たしています。思うように歩けない人も、車いすを使えば目的の場所へ行くことができますし、症状によってはご自分の意思で動かせる場合も多くあります。要介護者自身で操作できない場合も介助者が押すことで少ない力で早く移動できるようになります。
介護ベッド
特殊寝台(介護ベッド)は、要介護者の「自立」を手伝い、介助者の負担を減らしてくれます。背部や、脚部の傾斜角度が調整でき、床板の高さが無段階に調節できる機能が付いていまるので起き上がることがとても楽になります。
介護の現状と問題点
超高齢社会に突入した日本の介護の問題点が沢山あります。下記にあげる問題は他人事ではなく、どなたにも起こりえることですので、しっかり確認しておきましょう。
介護難民
介護難民とは、施設に入所できない他、家庭においても適切な介護サービスを受けられない65歳以上の高齢者を指します。
2025年には全国で約43万人が介護難民になる。という予測もあり大きな問題となっています。これは、要介助者が増えるという面と、介護にかかわる要員が不足している。という2つの面で顕著化しています。
老老介護・認認介護
老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者を介護することで、老人が老人を介護することを意味します。認認介護は、介護する人と介護される人の双方が認知症を発症しているケースです。
●老老介護・認認介護の原因
なぜ老老介護や認認介護といった問題が生じるようになったのでしょうか。主な原因として次の2つが考えられます。老老介護・認認介護が増えていった背景として、医療の進歩により平均寿命が増えたことがあげられます。また、核家族化が進んだことも老老介護・認認介護が増えたことの原因として挙げられます。
虐待問題
少し前にニュースで話題になっていましたが、高齢者が介護施設等で虐待を受ける現実も大きな問題として考えられます。
厚生労働省が行った調査によると、虐待が起きている場所の1位は特別養護老人ホームで全体の30.6パーセント。続いて、有料老人ホームが20.9パーセント、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が15.9パーセント、介護老人保健施設が9.1パーセント、訪問介護等が6.1パーセントとなっています。
高齢者の一人暮らし
介護では、高齢者が一人で暮らすことで生じる問題もあります。高齢者の一人暮らしには、認知症になりやすかったり、孤独死などの問題があります。
成年後見人トラブル
認知症などで判断力が衰えた高齢者をサポートしてくれるのが成年後見人です。成年後見人の主な役割に、財産管理があります。この財産管理をせずに権限を乱用し、被後見人の財産をまるで自分のもののように使うなどのトラブルが生じています。
介護施設の種類
老人介護施設には、さまざまな種類があります。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム(ケアハウス)
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者住宅
・グループホーム
上記の他、デイサービスや短期入所生活介護(ショートステイ)といった在宅型の施設などもあります。
特別養護老人ホーム
介護の必要な高齢者を対象とした公的な施設。入居者は、入浴、食事、排泄などの介助や健康管理、機能訓練、療養上のケアを受けながら暮らします。社会福祉法人などが運営に当たるため、民間の有料老人ホームと比べて入居費用が安いのが特徴のひとつです。
介護老人保健施設
介護が必要な高齢者の自立支援を目的とした医療施設です。入居者の症状や状態に合わせ、リハビリや栄養管理、食事、入浴などのケアサービスを受けることができます。
養護老人ホーム
心身上の障害や経済的な理由から自宅で日常生活を送ることが困難と判断された65歳以上の高齢者を対象とした入所型の老人福祉施設。地方自治体の審査を受ける必要があります。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
身の回りのことを自分ですることができるものの、自立した生活を送る不安があるという人が、比較的低価格で入居することができる施設です。
介護付き有料老人ホーム
人員数や館内の設備、職員の勤務体制などといった基準を満たし、各都道府県から特定施設入居者生活介護に指定されている高齢者向けの居住施設です。スタッフが24時間体制で常駐し、ケアマネージャーが作成したケアプランに沿って、入浴、食事、排泄といった身体介護や掃除、洗濯などの生活援助、健康相談やリハビリレクリエーションといった介護サービスを受けることが可能です。
住宅型有料老人ホーム
食事サービスを含んだ生活支援サービスを受けることができる施設です。上記の介護付き有料老人ホームと違って特定施設入居者介護の指定を受けていないため、介護が必要な場合は、訪問介護や通所介護など居宅介護サービスの対象となり、外部の事業者と個別契約を結び介護サービスを受けることになります。
健康型有料老人ホーム
介護や介助が不要な自立している人を対象とした施設です。入居者が介護が必要になった場合は退去しなければならないきまりとなっています。
サービス付き高齢者向け住宅
通称「サ高住」と呼ばれる高齢者向けの賃貸住宅。介護や医療の専門スタッフが常駐し、24時間体制で安否確認や生活相談などのサービスを提供しています。
グループホーム
5~9人の認知症患者を1グループとし、介護を受けながら共同で生活をする施設です。進行性の疾病である認知症の症状悪化を和らげたり、進行を遅らせたりするため、家庭的な雰囲気を持っているのが特徴です。