人生における一大イベント、出産、育児に関する手当や制度についてまとめます。出産育児は、大変なライフイベントです。一生のうちに多くあることではない場合がほとんどですので、よく調べて準備をしましょう。後で公開をすることがないように、関わる人全てが生まれてくるお子さんのために最善ができるように準備しましょう。
出産育児一時金
出産一時金は、妊娠4ヶ月以上で出産をした人に支給される制度です。支給額は原則、以下の通りで支払われます。
原則42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40万8000円) となります。
出産一時金は健康保険の種類に条件がないので、全ての国民健康保険や全国健康保険協会(協会けんぽ)、総合健康保険組合(組合健保)など全ての保険が対象になります。
出産一時金の支払い、受け取り方法
出産一時金を直接、医療機関への支払いに充てる方法に「直接支払制度」と「受取代理制度」の2つの方法があります。どちらも申請にかかる手間や窓口の負担を減らす目的で始まった制度で、医療機関で出産費用の全てを支払う必要がなくなります。
出産にかかった費用が42万円以上になりますと、窓口で差額を負担する必要があり、 出産一時金よりも出産費用が少なかった場合は、申請すれば差額分を受け取ることができます。
直接支払制度
出産育児一時金の請求と受取を医療機関等が行う制度のことです。
受取代理制度
出産育児一時金の請求を行う際、健康保険から医療機関等へ直接出産育児一時金が支給される制度です。
出産手当
出産手当金とは、出産のために会社を休んだ際に支給される手当のことで、労働基準法第65条で定められており、使用者は、6週間(双子など多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、これを認めなければならない。となっています。
また、同法同条では、産後8週間(女性が請求した場合は産後6週間)を経過しない女性の就業も禁止しています。ただし、この労働基準法では休むことは認められているにもかかわらず、その休んだ期間の給与については一切触れられておらず、休んだ期間の給与条件については企業にゆだねられています。
もし会社側が産休中の給与を支払わないという規則だった場合、産後少なくとも6週間~8っ週間の休暇を取らなければならない女性は、収入が減少してしまいます。
出産手当金は、そんな産休中の女性のために設けられた公的医療保険による制度で、賃金をもとに計算された手当金の支給により、産後の女性の生活を保障します。
出産手当金をもらえる対象ってどんな人?
出産手当金を受給するには、以下の要件を満たしている必要があります。
●勤務先の健康保険に加入していること
●妊娠4ヵ月以降の出産であること
●出産のために休業していること
出産手当金はいつ、幾らくらいもらえるの?
出産手当金をもらえるのは、出産の日以前42日目(双子など多胎妊娠の場合は98日目)から、出産日の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間について支給されます。
出産が予定日より遅れた場合でも、出産予定日が起算日となりますので、実際に出産した日までの期間も出産手当金の支給対象となります。
出産手当金の支給額
出産手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で算出します。
1日あたりの金額=支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
標準報酬月額とは、毎月の報酬の月額を区切りの良い幅で50等級に区分したものです。
計算例
12ヵ月間の各標準報酬月額が20万円だった場合、
1日あたりに受け取れる出産手当金は20万円÷30日×2/3=4,445円です。
産前42日、産後56日で計98日間の産休を取った場合、4,445円×98日間=43万5,610円が出産手当金の総支給額となります。
育児休業制度
子が1歳(一定の場合は、最長で2歳)に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間<パパ・ママ育休プラス>)、申出により育児休業の取得が可能です。
また、産後8週間以内の期間に育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても申出により再度の育児休業取得が可能<パパ休暇>です。
以下の制度が規定されています。
短時間勤務等の措置
3歳に達するまでの子を養育する労働者について、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務の措置(1日原則6時間)を義務づけ
子の看護休暇制度
小学校就学前までの子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を限度として看護休暇の取得が可能。時間単位での取得も可能
時間外労働の制限
小学校就学前までの子を養育する労働者が請求した場合、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働を制限
転勤についての配慮
労働者を転勤させる場合の、育児の状況についての配慮義務
所定外労働(残業)の制限
3歳に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、所定外労働を制限
不利益取扱いの禁止
育児休業等の申出・取得等を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止
深夜業の制限
小学校就学前までの子を養育する労働者が請求した場合、深夜業を制限
育児休業等に関するハラスメントの防止措置
上司・同僚による育児休業等の制度又は措置の申出・利用に関する言動によるハラスメントを防止する措置を義務付け
育児休業手当
育児休業は、子どもを育てる従業員が法律上取得できる休業です。
育児休業中は「育児休業給付金」が支給されます。子育てをしている期間中にもらえる手当なので「育休手当」とも呼ばれ、原則として子どもが1歳の誕生日を迎える日の前日、あるいは1歳の誕生日前に職場復帰した場合は職場復帰した日の前日まで支給されます。
育児休業手当をもらえる条件
育休手当をもらうためには、以下の項目に該当する必要があります。
受給資格のある者
- 1歳未満の子どもがいる母親または父親
- 育児休業を取得後、会社に復帰する意思のある者
- 雇用保険に加入していた者(※育児休業を取得する直近2年間で、11日以上働いた月が12カ月以上ある)
育休手当はいくらもらえるのか?
支給される育休手当は人によって金額は決まっていません。ここでは、支給額の計算方法を紹介します。
育休手当の計算方法
育休手当の計算式は、以下の通りです。
休業開始時賃金の日額×支給日数×67%
とても簡単なので、一度計算をしてみましょう。